HOME/三味線のアルバム VOL.1-10

 

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( 1)〜(10):VOL.1  このベージです


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(21)〜(30):VOL.3  「こちら


1から10は以下にご紹介しています。

(1)情緒まで届く (細棹二枚)

明治8年製作です。三萃園で最も美しい一丁です。

当店に到着してから修復完了するには数年かかりました。修復を通じて江戸時代生まれの職人と

三味線を通じてじっくりと対話をさせてもらいました。

 

樫材を中心に作成されていて、棹の表に紫檀材を張ってある2枚三味線です。

花梨材、紅木材は昭和初期頃から使用されたようです。古三味線を調査するかぎり、

明治初期の三味線は樫、桜、杉、紫檀材等が中心だったようです。

 

「優しい」「綺麗」「不思議」…この三味線を当店でご覧になった方のご意見です。

私も「優しさ」という側面を意識して、皮張りや音色の調整をしました。

 

修復後、この三味線に合うの曲を演奏として「竹田の子守唄」を最初に演奏頂きました。

この三味線は演奏して感涙された方もいらっしゃいます。古曲に目覚める方もいます。

 

「人の情緒まで届く一丁」そう呼ぶのにふさわしいでしょう。

 

この三味線の音色

(2)持った瞬間の出会い (中棹紅木)

当時学生の女の子が購入した三味線です。

その女の子は「何も続かない子」でした。性格もおとなしく、自己主張も控えめです。

しかし、三味線だけは続きました。数年後、自分の三味線を選ぶことになりました。

 

多数の三味線があった中で、この三味線を持った瞬間「私これがいい」と

自己主張しました。音を鳴らす前に「自分に合った三味線」に出会いました

しかし、最高級の部類に入る三味線で高額です。親御さんは少し困った表情でした。

 

出会うと不思議なことが起きる。経験上ですが、よくあることです。

その後、その三味線は女の子の親戚の方が購入してくれました。

その女の子の三味線発表会を見て、彼女の熱心な姿に感激したことが発端でした。

 

その女の子は今では大人の女性に成長しつつあります。

なぜその三味線に心を惹かれたのか、それが本当にわかるようになるのは

10年先かもしれませんし、20年先かもしれません。

何も続かなかった私がなぜ三味線を続け、なぜこの三味線に出会ったのか、

いずれ気づく日が音づれ(訪れ)るでしょう。

(3)荒ぶる三味線 (太棹紅木)

「荒ぶる三味線」 そう表現したくなる一丁でした。

本当にすごい迫力です。「私が弾きこなせるのか」と迫ってくるような威圧感もありました。

この三味線を弾きこなせる人はだれなのだろう。おそらく、力強い男性だろう。

そのように想定していました。

 

常連の体格の良い男性の方に試奏頂きました。

「これは弾きこなせない」「重すぎる」皆さん苦笑いして、演奏を途中で中断していました。

ある時、遠方からある女性の奏者が訪れました。

 

ご来店されてすぐに、多数ある三味線の中からなぜかこの三味線を見つけました。

そして、試奏を始めると、初めて弾くとは思えないような演奏をはじめました。

私は正直驚いてしまいました。あまりに三味線と奏者が一体となっているからです。

 

そして女性の奏者の方は10分もしないうちに「これにします」と出会ってしまいました。

一目惚れの出会い。多くの場合、最初の直感は自分を裏切りません。

 

この三味線の音色

 

(4)火事から修復した三味線 (中棹紅木)

「三味線を始めたいのだけど、三味線の修復はお願いできますか?」

 

そんなご要望はよくいただきます。古い三味線の中には本当に良い音色の

三味線があります。三味線に限りませんが、楽器は年月とともに成熟していきます。

楽器として最も音色が良いのは、やはりヴィンテージ(成熟した中古)品でしょう。

 

この三味線はご依頼者の祖母の三味線でした。火事の影響にあったようです。

私も数多くの三味線を修復してきましたが「修復してみないとわからない」

これが正直な感想でした。紅木の三味線でしたが、やはり「高級な木材は強い」

そう再認識することができた修復作業でした。

紆余曲折の末、「新品同様ですね」と感想をいただく水準まで修復できました。

 

今、ご依頼者は祖母がよく弾いてくれた曲の演奏を目指して稽古をしています。

大切な人の三味線を引き継ぎ音色を奏でる。これも本当に素晴らしいことだと思います。

そんな大切な瞬間をサポートさせていただけることは、本当に嬉しいことです。

この三味線の音色

(5)三味線を学ぶことの良さ

この三味線は演劇で利用された古い三味線です。

 

三味線は日本の歴史的な演劇やドラマでは欠かせない楽器の一つでしょう。

三味線は佇まいがすばらしく、同時に、主張は控え目なので背景に溶け込むことも

可能です。そこに在るだけで独特の「味」を出してくれます。

 

三味線を習得する良さは「これ以上ほとんど変化しない」ことにあります。

例えばポップ・ミュージックなどの新しい音楽は習得してもすぐに廃れて、

新しいものが次々と現れます。つまり対象自体が変化してしまいます。

 

しかし、三味線は400年以上の歴史があります。対象の変化はほぼありません。

何十年前、何百年前の曲を演奏しても、飽きないのです。

この歴史に培われた素晴らしさに対して、私がどこまで達することができるか、

つまり「一生追求できること」なのです。

 

「味」のある三味線を対象として稽古を積み、あなたの「味」が徐々に表現される。

あなたはどこまで深みに達することができるでしょうか。

この三味線の音色

(6)1000km先へお届け (細棹紅木)

全国的に和楽器店は廃業が進んでいます。

このため、地域によっては自分に合った三味線をお届けするのは

本当に難しくなっています。

 

当店は遠方の方にもご利用いただいています。

 

この一丁はインターネットを最大限活用して、

一ヶ月以上じっくり相談しながら決めた三味線です。

経緯は「こちら」をご覧ください。

 

いただいたメール

「三萃園 田中様

今日三味線が届きました。早速弾いています。

まず、棹の縞模様の木目の美しさに目を奪われました。

弾いてみると1の糸の響きの重厚さ、2の糸の音の伸び、3の糸の音色の

美しさにうっとりしています。2,3の糸の余韻が素晴らしいですね。

良い買い物をしたと喜んでいます。やはり、信頼できるお店で勧め

ていただいた事が良かったと思っています。

これからしっかりとこの三味線を使い込んでいこうと思っています。

田中さんともこの三味線とも良いご縁に恵まれたことに感謝しています。」

この三味線の音色

 

 

(7)佇まいの美しさ (中棹 白紅木)

もっとも佇まいが美しい三味線一つです。

この写真があれば特にコメントは不要でしょう。

 

珍しい木材で製作していますので、

三味線人生の中でも実物にお目にかかる方はごく少数だと思います。

 

この三味線に出会ったのは 長年お付き合いのある女性奏者の方です。

 

現在この三味線は様々な演奏の場で利用されています。

 

この三味線は年月を重ね、彼女とともに更に美しく成熟していくことでしょう。

 

この三味線の音色

 

 

(8)三味線を始めやすく (細棹花梨)

「三味線を始めやすくしたい」私はそう願っています。

ただ始めやすいのではなく「三味線の音色」で三味線を始めてほしいと願っています

 

単に、経済的にご提供するために闇雲に三味線を大量生産し、

音色を壊してまで、おもちゃのような音色の三味線をご提供したくはありません。

このため、当店は合成皮や代替材の三味線は扱わない方針です。

おもちゃのような音色の三味線は上達の妨げや怪我の原因になることが多いからです。

結局、そのような三味線は挫折する人を増やしているのも事実です。

 

「初心者にとって経済的でもあり、音色も犠牲にしない」

その想いの中で、良質な中古品をご提供することや、レンタル品をご提供するなど

当初はほとんど取り組まれていなかったことを、当店は地道に取り組んでまいりました。

 

それぞれが縁があって興味を持った三味線です。ぜひ「三味線の音色」で始め、

「なぜ私が三味線に縁があったのか」深い部分で気づく日が音づれることを願っています。

 

この三味線の音色

 

 

(9)体格に合った三味線 (短棹-中棹花梨)

体格は人それぞれです。

当然ですが、体格に合わせて三味線を選ぶことも大切です。

 

この三味線はもともと「津軽三味線=太棹三味線」を演奏したくて始められた方が

購入した「短棹の中棹三味線」です。

 

三味線の全長は98cm〜100cm程度ですが、3〜6cm短く製作されている三味線があります。

それを「短棹」と呼びます。

短棹は主に1寸詰(約3cm全長を短く)、1.5寸詰(約4.5cm)、2寸詰(約6cm)の3種類があります。

 

地域や師匠の方針次第では、短棹を利用する人もいますが、

私は体格に合わせて短棹も選択肢に入れて欲しいと考えています。

 

それは、小柄な方が、安易に初めから太棹三味線に手を出して、

挫折する姿を散見しているからです。

 

ぜひ、自分の体格にあった三味線に出会って欲しいものです。

この三味線の音色

 

 

(10)消耗しない棹 (中棹 紅木)

40年間使用されている三味線です。

 

使用されている方は三味線教室の先生です。

 

1日5〜8時間 ほとんど毎日、三味線を演奏しています。

この三味線は祖母から譲り受けた三味線だそうです。

 

こんなに演奏していたら三味線の棹が削れるため消耗してしまう、

通説ではそのように考えてしまうかもしれません。

 

私の経験では「良い木材はほとんど消耗しない」と考えています。

 

そんな三味線は年月とともに成熟し、素晴らしい音色を奏でるようになります。

 

私は通説には惑わされず、自分に合った三味線に出会って欲しいと考えています。

 

この三味線の音色

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