00:00 1.「楽譜」VS 「口三味線」
00:15 楽譜を見ながら習得した演奏例@
00:20 口三味線で習得した演奏例@
00:30 楽譜を見ながら習得した演奏例A
01:05 口三味線で習得した演奏例A
口三味線で曲が動いていく。
01:25 2.楽譜→頭で演奏する
日本人は古来より口三味線で学んできました。音楽を身体で直接習得することが大切でした。
しかし、義務教育で西洋音楽のように楽譜で学ぶようになってきました。
そのため、楽譜があることが当然と思っている人も多いのが現実です。
・楽譜のメリット
音楽をメモとして記録。曲全体の構成を把握。みんな同じ演奏ができること
・楽譜を見て弾くことの弊害1
姿勢が崩れる。視野が狭くなる。身体が固まる。呼吸が浅くなる。「音」ではなく「目」で演奏をしてしまう。
・楽譜を見て弾くことの弊害2
頭で演奏する回路を作り上げてしまう
・楽譜を見て弾くことの弊害3
その場にいられない。楽譜で次を追う。今の音に集中できない。今、この瞬間にいられなくなる。→中身のない音楽
楽譜で演奏する人は、番号や音符を頭でなぞります。頭の記憶を呼び覚ましながら身体へ指令を出し、次はこうしようと意図します。この瞬間、瞬間の遅れが音楽にとっては致命的です。
頭は未来に気を取られ、身体が過去にいる状態になります。
頭で演奏する人は、楽譜通りに間違えずに弾けば他者から承認が得られると信じ、頭で身体をコントロールしようとしますが、現代の鑑賞能力が向上している人たちには、その浅い意図が見透かされてしまいます。単に上手なだけ。こんなことを繰り返していると、ぎこちないロボットのような演奏になります。
昭和ならまだしも、令和の現代にこのような演奏に魅力を感じる人がとれくらいいるでしょうか?
私は、これが日本古来の音楽人口が減少し続けている重大な原因の1つだと考えています。
そもそも、楽譜通りに間違えないで弾くことはロボットやAIの方が上手になるでしょう。
では人間にしかできない演奏とはなんなのでしょうか?
それは「口三味線(くちしゃみせん)」という学び方に隠されているのではないでしょうか。
3.楽器は声の延長物
楽譜通りに間違えないで弾くことは、中身のない演奏と言われています
文字通り、音楽に「身体性」がない状態です。今回はこれを口三味線と絡めて説明します。
人間にしかできないことの重要な1つは感情・情動です。
古来の言葉の通り、人間は感情を身体で感じています。感情とは頭で考える以前に身体に感覚が生じる。
この身体感覚と演奏がつながらないと「中身のない音楽」になってしまう
しかし、多くの場合、感情を表現しようと意図すると、自意識が過剰になりうまくいかないか、頭で考えた感情”風”のことを身体を支配してやり出します。日本ではこの状態のことを「小手先」と言います。このような状態にならないために、日本古来の捉え方として「声の延長物が楽器」という捉え方をします。
口三味線で覚えることで、自分の身体とつながって、そこから曲や音が情動とつながって出てくるというルートを作ることができる。
かなり単純化させると、身体感覚である感情を直接表現するルートの1つが声。純粋な感情は言葉ではなく、声の質で表現される。
07:11 口三味線の例
07:50 口三味線を通じて、自分の声と動作や演奏表現をつなぐ訓練をしていけば、無理に感情を演奏で表現しようと意図せずとも、結果的に無理なく感情が演奏に表現されていきます。
感情は複雑です。時には人間の声を声、楽器を利用して生み出されます
身体それ自身はもちろん、感情や情動の感じ方、表現へのつなぎかたは人それぞれ異なります。
それが「個性」なのです。
08:10 日本古来には、現代にはびこる「個性的であれ」「自分らしくあれ」という突拍子もないスローガンはありませんでした。小手先な作為ではなく、「中身のある音楽や芸」を身につけ、身体性を取り戻すことを大切にしていました。地に足をつける。肚が座る。重心を下げる。呼吸が深まるなどを本当の意味で体得することです。そして結果的にあなたの個性が表現されるのです。
08:45 口三味線を大切にしてきた理由→中身のある音楽、音楽に身体性を取り戻す
是非、多くの人に体得していただきたいと思います。
08:50 4.「口三味線」身体で音楽を学ぶ
09:10 口三味線の注意事項
口三味線は先生や流派、地域、演奏ジャンルによって少しずつ異なります。そのため、ご自身の先生から直接学んでください。ただし、現在口三味線を教えることができる先生は年々減少しています。本章では、楽譜でしか学んだことのない人に口三味線で学ぶ雰囲気を感じてもらえればと思います。
09:50 口三味線の実践
口三味線を覚えてから、口三味線を動かす
ただ口三味線を覚えるのではなく、身体とつなげていく。
呼吸と自分の動作をつなげる。その時に基本の動作がとても大事になってきます。
日本人は音を言葉や声で覚える。例えば、自然の音を言葉で表現する。言葉として聞こえる。だから自然が語りかけてくる。同じように口三味線で覚えると三味線との対話になる。
口三味線で唱えながら、先生と動きを合わせる。そこをちゃんとお稽古しましょう。
演奏に行き詰まる人の典型は、楽譜から目が離せない。口伝のお稽古ができない。
共身体が作れない。
師匠の動きを学ぶ。まねぶ。是非、そこまで取り組んでもらいたいと考えています。
17:50 楽譜を否定するわけではありません。楽譜には楽譜のよいところがあります。
うまく併用していきましょう。
また、口三味線の基本は師匠との口伝のお稽古です。
なぜ、口伝のお稽古なのか。本動画をご覧いただけたなら、それがわかっていただけたと思います