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(20)見極める玄人奏者 (太棹紅木)

「年に一丁出るか出ないかの面白い三味線が仕立てられた」

そして正直「この三味線は売りたくないな」感じました。

インターネット掲載も店舗の展示も控え、しばらくともに過ごそう、そう考えていました。

 

翌週、遠方から上級者が訪ねてきました。

三味線歴の長い方です。独特の雰囲気がある、武士のような方です。

 

彼は、様々な三味線の試奏を始めると、

音色のコメント、木材の年代、木材の質、ヴィンテージの良さなど

的確に楽器の評価をしていきました。

 

有名な奏者や有名な先生でもこんなに的確に

三味線のことがわかる人に出会ったことがありません。

 

もしかしてこの三味線の良さもわかるかな、と感じたので試奏していただいたところ、

彼は「出会ってしまいました」。

 

私はこの三味線は彼に渡るべきだ。そう考えました。

 

私の内心は持つべき人に渡って嬉しい反面、大切な娘を嫁を出す父のような気持ちになり、

喪失感もあり、複雑な心境で数日を過ごしたのを覚えています。

 

おそらく彼なら独自の道の良きパートナーとして大いに活躍していることでしょう。

 

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