HOME三味線の基礎知識>三味線の選び方や選択方法

三味線選びの知識


インターネットを利用して三味線選びをする方に向けて最低限の知識をお伝えします。

00:03 楽器選びの結論「楽器の限界があなたの限界を決める」
00:39 (1)後悔する人/しない人「五つの悪いパターン、二つの良い選択肢」
06:57 (2)楽器の価値「音色」「耐久性」「状態」「希少性」「美しさ」
11:04 (3)三味線の種類「細棹」「中棹」「太棹」「撥(バチ)」「駒」演奏の比較 「花梨」「紫檀」「紅木」
14:25 (4)付属品とメンテナンス「特に撥選びが重要」「良い三味線はメンテナンスすれば長く利用できる」
16:29 (5)音色に関係がある部位「上駒、サワリ、弦、棹、駒、皮、胴、撥」
16:56 時代と音色「昭和と令和の違い」
19:46 (6)昭和と令和の違い「製作/販売者が激減」「良い材料の確保が難しい」「自由に選択する人が増えている」
23:00 (7)価格相場「現在の状況と当面の予測」「価格表と目安」
25:02 「上級編」芸術に向かう理由と楽器との出会い

三味線選択のための基礎知識 目次


  • 1.三味線の種類
  • 2.三味線の材質
  • 3.演奏ジャンル
  • 4.価格相場
  • 5.音色
  • 6.付属品
  • 7.商品のメンテナンス
  • 8.商品の保証
  • 9.三味線習得のサポート
  • 最後に.自分に合った選択をしてください

  • 参考1:後悔しない三味線選び
  • 三味線の種類

    三味線の太さ

    三味線は大別すると棹の太さが異なる「細棹」「中棹」「太棹」があります。

     

    主に棹の太さで定義され、胴の大きさもそれに合わせて異なります。

     

    しかし、実態としては演奏ジャンルによりさらに細かくアレンジされ作製されていますので一概には定義できません。

    また、演奏ジャンルによっては師匠一人一人の方針や地域により異なる場合もあります。

     

    それを前提として以下を参考にしてください。

    ・棹の太さ
    細棹は約2.3〜2.6cm、中棹は約2.5〜2.8cm、太棹は約2.8〜3.2cm

     

    ・胴の大きさ
    細棹は5厘台〜1分5厘台、中棹5厘台〜2分台、太棹4分台〜5分台


    ・三味線の全長

    正寸は約98〜101cmの幅があります。

     

    それより全長が短い三味線を「短棹(たんざお)」と呼びます。

    約95cm  :1寸詰め

    約93.5cm  :1.5寸詰め

    約92cm  :2寸詰め    

     

    しかし細かな定義は、制作者、地域、流派などで細かく異なります。

     

    細かな流派の規定がない場合は、

    「子供」「手の小さい方」「正寸が長くて演奏しにくいと感じる方」にはおすすめです。


    ・棹と音色

    大雑把に分類すると「細棹」繊細 「中棹」細と太の中間 「太棹」大きな音で迫力が出る という特徴があります。



    演奏ジャンルと棹の選び方

    少なくとも下記情報を踏まえた上で、三味線を選ぶことをお勧めします。

    ・特定流派、会派に弟子入りする人は師匠と同じ種類の三味線を選びましょう。

    ・原則、特定流派や会派に弟子入りする人以外は、厳密な従来三味線の定義に従う必要はありません。

    三味線 棹の太さ

    三味線の選び方の基本知識

    『細棹』 は 長唄、『中棹』 は 地唄、民謡、『太棹』 は 津軽地方の民謡 (津軽三味線とも呼ばれます)、義太夫に使われます。
    端唄、小唄、清元は定義によりますが細棹(一部中棹)です。ご自身の師匠等を通じてしっかりとご確認ください。
    (定義によっては細棹:長唄、河東、萩江  中棹:常磐津、清元、新内、地唄、小唄、民謡  太棹:義太夫、津軽民謡[2])

    三味線の材質

    三味線の太さ

    三味線の棹の種類は大別すると「花梨(かりん)」「紫檀(したん)」「紅木(こうき)」があります(写真左から順)。

     

    その中でもさらに種類があり、同じ種類でも質も異なるので、一概には定義できません。

    価格も一般的に「花梨」「紫檀」「紅木」の順に高くなりますが、これも一概ではないため、専門家(三味線専門店)しか判断できません。

    棹の詳細



    三味線の胴

    三味線の胴の材質は大抵は「花梨」です。これも例外がありますので専門家しか判断できません。

    なお、三味線の内部を丸くくり抜いたものを「丸打胴」といい、ギザギザに加工したものを「綾杉胴」といいます。
    価格の高いものが「綾杉胴」ということになっていますが、これは例外が多いです(音色や質がよくないのに単に「綾杉加工」を施している場合が多々ある)。
    胴の質の良し悪しは専門家しか判断できません。
    胴の詳細

    演奏ジャンル

    【伝統的な演奏ジャンルで習得を目指す方】

    長唄・端唄・小唄が「細棹」、民謡・地唄が「中棹」、津軽・義太夫が「太棹」が基本です。

    (定義によっては細棹:長唄、河東、萩江  中棹:常磐津、清元、新内、地唄、小唄、民謡  太棹:義太夫、津軽民謡)

     

    師匠や地域によっては異なる場合があります。


    家元制の教室で三味線の習得を目指す場合、ご自身の師匠等を通じてご確認ください。 


    演奏ジャンル詳細へ

    【自由に自分の好きな三味線を選びたい方】

    伝統的な家元制の教室に所属しないで学ぶ方は、従来の定義に従う必要はありません。

    初心者で幅広い演奏ジャンルを演奏したい方は「中棹」がおすすめです。

    演奏しやすさ、音色、演奏したい曲などを検討して、自分にあった三味線を選びましょう。

    価格相場

    三味線の種類、付属品などにより異なりますが、質の確かな材質で製作した場合以下が大雑把な相場です(2023年)。

    花梨材 新品 14〜20万円

    紫檀材 新品 30〜40万円

    紅木材 新品 35〜400万円


    以前は偽物の木材を使用して、偽装し、上記より安い値段で販売されていたこともありました。
    安かろうに手を出しトラブルになるケースもあります。現在も販売されているようですのでご注意ください。


    なお、良質な中古品は上記値段の 約半額〜 となります。なお、古い質の良い中古三味線は新品より高くなっています。

    棹の詳細

    また、紅木の高級材には「金細」と呼ばれるものがあります。これは質の良い紅木のホゾに金メッキの金具を入れることで質を保証するものでした。
    しかし、特に1990年以降、質の良くない紅木にも「金細」として無理に高く販売することが増えました。

    安易な「金細」にはご注意ください。質の保証は三味線の専門家しか判断できません。

    音色

    インターネット販売用に音色を5つに分けています。

    かなり単純化させていますが、大雑把に把握でき、参考になると思います。


    甲2:琴に近い音

    甲1:単調で硬い、高音強調、手元の音が大きい(遠くに響かない)、奏者の個性が出にくい

    甲乙:スタンダード(甲と乙の両立)

    乙1:複雑で渋め、やさしい、やわらかい、遠くまで響く、奏者の個性が出やすい

    乙2:琵琶に近い音


    【難点】

    甲:突き刺さる刺激、うるさい、痛い、簡単に鳴るので上達したと勘違いする(小手先の動作になる)、マイクが必要、皮が破れやすい(皮の張りが強い)

    乙:一般に難しい、扱いを教えることができる先生が少ない


    漠然と巷で三味線を購入すると「甲2」か「甲1」を説明なく選択させられます(皮が破れやすくメンテナンスかかるため)。


    ちなみに三萃園ではスタンダードは「甲乙」としています。


    試奏すると「甲乙」か「乙1」を選択する人が大半です。「甲1」は20人に1人いるかいないかです。

    「乙2」は玄人やシニアに推奨。そもそも製作が大変です。

    なお、試奏して「甲2」を選択した方は過去一人もいません。

    演奏ジャンル、年齢、師匠の方針に合わせ「甲1」をご提案する場合もございます。この場合メンテナンス費用が多く必要なことをしっかり説明します。


    「甲(こう)」:(例)甲高い声、 綺麗で雑味がなく派手「きざ」「色」「華やか」
    「乙(おつ)」:(例)乙な声、  渋くて地味だけど上品「粋」「寂び」「雅」「味」


    当たり前ですが、音色は単純化ができません。

    音色に関して勉強を始めると、かなり熱心に勉強しても、体得できるまでにおそらく数年以上必要です。

    以下にまとめてありますので、参考にしてください。

    動画集

    音色:甲と乙について

    音色:音色の探求

    音色:皮


    以上をご覧いただくとわかると思いますが、体験がないと体得はできません。

    体験にご興味がある方は店舗にご来店ください。

    付属品

    三味線のセット

    ↑三味線演奏に必要な最低限の付属品


    」:演奏ジャンルや個人の相性により異なる

    」:演奏ジャンルや表現したい音色により異なる

    「指かけ/指すり」:左手につけ棹のと手の滑りをよくする

    「ふきん/クロス」:稽古終了時に三味線を磨く

    「ケース」:ソフトカバー(ソフトケース)、軽量ハードケース、ハードケースがある

    三味線に取り付けるもの:「糸(弦)」「音緒」「胴かけ」「胴かけゴム」「天神カバー」「胴張りゴム(もしくは膝ゴム)」「(必要な方)ツボ位置のシール」

    簡単な知識と選び方

    商品のメンテナンス

    当店はオーダメイドから中古品の販売まであらゆる三味線製作に対応できます。

    インターネットを通じて販売するのは主に「新品」「新品同様品」「修復済み中古品」です。


    三味線の状態は以下のように数値化しています。

    5段階評価(5が新品 4.5新品同様 4美品中古 3一般的な中古 1難有り)

    4.5新品同様:新品と全く違いがわかりません(仕入れ工夫品です)

    4美品中古:修繕しているので新品と違いがわかわからないというご感想が大半です。「お客様の声

    3一般的な中古:やや使用感があります。

    1難有り:当店が販売することあありません。三味線専門店以外で購入した場合この水準は多数あります。


    皮は張り替えて出荷しています
    ・張り替え後、音色を収録して、数ヶ月以内に販売しています。
    ・耐用年数は棹の種類、皮の種類、使用状況、保管状況次第ですが、使用開始から2〜5年程度の方が多いです。
    ・当店は皮が破れやすくなるような工法は採用していませんのでご安心ください(皮を張った瞬間が音色のピークではありません)。


    三味線の耐用年数
    ・適切に修繕すれば10年以上使用可能です。その水準以下の三味線は販売しておりません。

    商品の保証

    三味線到着後 半年間の「自然故障」は無料で修理いたします。遠慮なくご連絡ください。
    過失故障(例:皮に水をかける、棹を踏む、三味線を落とすなど)は保証範囲外ですのでご了承ください。

    三味線習得のサポート

    三味線習得のサポートとして「三味線の教本」「稽古1回分」をおつけしております。

    最後に 自分にあった三味線を選択ください

    ぜひ自分に合った三味線をお選びください。


    自分で選べない方は100時間ネットで検討するより、相談した方がはるかに早く解決します。

    お気軽にご相談ください。

    参考 冊子:後悔しない三味線選び

    後悔しない三味線選び